今回お話しするのは
連続毒殺未解決事件
パラコート連続毒殺事件
です。
いまだに犯人が見つかっていない有名な未解決事件です。
パラコート連続毒殺事件とは?
パラコート連続毒殺事件は1985年4月30日~11月17日に、日本全国で発生した連続毒殺事件のこと。
パラコートという農薬(除草剤)を飲み物の中に混入させ、数多くの犠牲者を出してしまった。
しかし、犯人の足掛かりとなる物証は見つからず、それ故に犯人も逮捕されなかった。
単独犯なのか複数犯なのかも分かっていない未解決事件。
- 被害者: 10名以上
- 犯人: 未逮捕
- 手口: 飲み物にパラコートを混ぜた毒殺
パラコート事件の手口
事件の手口は、そこまで手の込んだものではありません。
昔から飲み物には、「開封か未開封かを判別するリング状の物体」がついていました。(ペットボトルには必ずと言っていいほどついている)
しかし、当時は「そのリングの状態で開封状態を判別する方法」はそこまで浸透していなかった。
そういった経緯もあり、「自動販売機の取り出し口」に開封された後のペットボトルが置いてあっても不信には思われませんでした。
むしろ「飲み物が置いてある。ラッキー」程度の認識でした。
なので、犯人は
あらかじめ飲み物を購入、開封して中にパラコートを混入。
蓋をして取り出し口に置いておく。
これを偶々見つけた人が運悪く取ってしまい、そのまま飲んでしまう・・・・・。
指紋がつかないようにすれば、だれが混入させたのかが分からない最悪な手口です。
パラコート事件の被害
今回のパラコート連続毒殺事件の犠牲者は自殺の可能性もある1件を含めると13人です。
発生日と場所 | |
4月30日 広島県 福山市 | トラック運転手(45歳)がドリンクを購入した際、自販機の上に置かれていたオロナミンCを飲み、5月2日に死亡。 嘔吐物からパラコートが検出された |
9月11日 大阪府 泉佐野市 | 男性(52歳)が釣りから帰る途中、オロナミンCを購入。 取り出し口にすでに同じ商品があることに気づき、2本とも持ち帰る。 帰宅後に飲み、9月14日に死亡。 飲み残しのオロナミンCからパラコートを検出。 |
9月12日 三重県 松阪市 | 大学生(22歳)が、自宅近くでリアルゴールドを購入。 取り出し口にすでに同じ商品があることに気づき、2本とも持ち帰る。 帰宅後に飲み、14日に死亡。 検出された毒物はジクワット。 |
9月19日 福井県 越前市 | 男性(30歳)が自販機の下にあったコーラを飲んだところ、気分不調を訴えて病院に駆け込んだ。 9月22日に死亡。 胃洗浄、飲み残したコーラの両方から、パラコートを検出。 |
9月20日 宮城県 都城市 | 男性(当時45歳)が自販機で飲み物を買おうとして、取り出し口にリアルゴールドが2本あるのを見つけて持ち帰る。 帰宅後に飲んだところ、気分不調を訴えるが、9月22日に死亡。 飲み残したリアルゴールドから、パラコートを検出。 |
9月23日 大阪府 羽曳野市 | 男性(50歳)が飲み物を買おうとして、取り出し口にオロナミンCを2本見つけ、持ち帰る。 9月25日の午前中に飲む。 翌日に容態が急変し、10月7日に死亡。 |
10月5日 埼玉県 鴻巣市 | 男性(44歳)が飲み物を買おうとして、取り出し口にオロナミンCが2本あるのを見つけて持ち帰る。 翌日飲み、10月21日に死亡。 飲み残しのオロナミンCよりパラコート検出。 |
10月15日 奈良県 橿原市 | 男性(69歳)が、取り出し口にドリンクが2本あるのに気づき、持ち帰る。 帰宅後に飲み、11月13日に死亡。飲み残しのドリンクからパラコート検出。 |
10月21日 宮城県 | 男性(55歳)が同様に死亡。 |
10月28日 大阪府 河内長野市 | 男性(50歳)が、取り出し口のオロナミンCを見つけて飲み、死亡。 |
11月7日 埼玉県 さいたま市 | 男性(42歳)がオロナミンCを購入。 取り出し口に2本あることに気づき、両方とも持ち帰る。 帰宅後に飲み、11月16日に死亡。 |
11月17日 埼玉県 児玉郡 | 女子高校生(17歳)がドリンクを購入した際、取り出し口にあったコーラを見つけて持ち帰る。 コーラを飲んだ一週間後に死亡。 飲み残しのコーラからパラコート検出。 |
パラコート連続毒殺事件と関連した事件
実はこの事件自体は34件も発生しましたが、その中には模倣犯や自作自演した件数もあります。
- 事件を模倣した殺害事件
- 自作自演による被害
それぞれ見ていきましょう。
この事件を模倣した事件
この事件は東京都で発生した事件のこと。
経営者とその支店長に青酸化合物入りのコーヒーを飲みかけた。
この事件で34歳の女が「殺人未遂」で逮捕されました。
この事件は解決していますが、他に2件発生しています。
それが「パラコート」ではなく、「石灰硫黄合剤(殺虫成分のようなもの)」がドリンクに混入されていて、それを飲んでしまうという事件。
この事件の犯人は逮捕されていませんが、警察としては同一犯ではなく模倣犯と見ているそうです。
自作自演による被害
パラコートの事件の最中に、自作自演を行った事件も複数発生しました。
- 福井県で殺虫剤をドリンクに自ら混ぜて飲み、そのまま逮捕
- 群馬県で中学生がパラコートを混入させて自殺を図る
- 東大阪市において、同級生から見舞いをしてもらう為に、中学生が自ら殺虫剤をドリンクに混入させ飲み、入院
東大阪市の事件は、結局誰も見舞いにはこなかったという話があります。
大きい事件があれば、便乗する人間がいるというのはどの時代にもいるということです。
事件の犯人像
パラコート連続毒殺事件の犯人像は全くの不明・・・・という訳ではなく、一応の犯人像自体はあったそうです。
パラコートは「除草剤」で当時は25%の濃度が市販されており、
18歳以上なら印鑑さえあれば農協で購入
することが出来ることから、犯人像としては
農業関連にそこそこ詳しい人間。
埼玉や大阪の周辺での事件が多いことから、その周辺の人間
という、誰でも分かるような予想もありました。
さらに、事件に関連することで
- 購入がある程度容易なこと
- 混入された飲料水もある程度共通
こういったこともあり、事件の犯人は絞り込めるだろうと思われていました。
犯人を特定できなかった原因
上記の予想はあくまでも状況証拠からです。
実際に犯人を捕まえるには、パラコートの容器やドリンクに残された犯人の指紋等が必要になってきます。
ですが、パラコート連続毒殺事件の犯人については
- 「単独犯?」
- 「複数犯?」
ということも分かっていませんが、なぜこういったことになってしまったのか?
この事件では以下の2つのモノが欠けて(少なすぎた)いました。
- 物証なし
- 証拠映像なし
この手の犯人の特定には、やはり証拠カメラが必要になります。
ですが、日本で自動販売機の所に監視カメラを1つ1つ設置するのは、「手間とコスト」が掛かります。
そもそも、時代的にまだ監視カメラが復旧していなかったことも原因の1つです。
その為、犯人は逮捕されていません。
事件後の影響と教訓
この事件と同時期に発生した「青酸コーラ無差別殺人事件」もあり、ほとんどの飲み物が「プルトップ」という、開ければプシュッとなるやつになりました。
それでも工夫すれば毒なんていくらでも盛れますしね・・・・。
当たり前のことですが、今回の教訓は
自動販売機の近くに飲料水が未開封で置いてあっても触らない
大人なら大丈夫と思いますが、子供なら「ラッキー」とか言って持っていく可能性もあります。
大人なら大丈夫と思っても、やはり子供やラッキーと思ってしまうものです。
こういったことをしっかりと子供に教えていきましょう。
まとめ: パラコート連続毒殺事件
事件は当時、他の事件の方が衝撃的でもあったせいか、そこまで話題になってなかった・・・・。
しかし、普通に考えなくても「テロ行為」です。
事件は未解決ですが、同じようなことが再び起きないことを願います。
と今回のまとめ
- パラコート連続毒殺は1985年4月30日から半年間かけて発生した事件
- 未開封のドリンクのプルタブに毒を塗って放置するという簡単な手口
- 事件数は34件。(関連事件も含む)
- 死傷者は13人
- 犯人は農業関連の未成年か?
- 監視カメラなどが無かったので犯人は特定できず未解決事件に